Tuesday, March 2, 2010

NYで虫歯になったら?























NYで虫歯になったら、どうしますか?

1:日本に帰るまで我慢する。
2:取りあえずそこらの歯医者に行く。

アメリカの歯医者は高い。信じられないほど高い。

去年、ずっと昔に治療した歯の詰め物が取れた時に、仕方なく上記の選択肢2を選び、日本人のやっている歯医者に行ったことがある。詰め物をくっつけるだけだから高いと言っても知れていると思ったのだ。これが、実に詰め物を元に戻すだけで、何と233ドルかかった。2万円強って、高っ!!しかも隣の歯が大きな虫歯なのでぜひ治療しなさい、治療費はこれだけかかりますと明細を頂戴した。問題の虫歯は、今は神経まで達していないかもしれないが、それでも日本円で6万円、神経治療になると15万円、最悪の場合は30万円を超えるとのこと。さすがの私もこれには本気でぶっとんだ。歯一本?一本に治療費30万?有り得ない。。。アメリカの保険制度が問題なのは知っているが、こういうことがあると、肌でその危険性を感じる。アメリカよ、国民に死ねというのか。何とかしてあげてくれ。

とにかくここで私は選択肢1を取り、日本に帰るまで我慢する決意をしたのだが、同じく虫歯で苦しむ同朋を目の当たりにすると、出来れば早期治療をしたい気持ちは抑えられない。ああ、頭痛で眠れないとか、いやだああ。

そんな時、親友のアメリカ人とこちらに長いSさんの両方から、同じ「安くて良い」歯医者を聞いた。NYUCD、ニューヨークユニバーシティー・カレッジ・オブ・デンタルクリニックである。ニューヨーク大学は歯医者の育成プログラムでも知られるが、ここはニューヨーク大で歯科を目指す学生たちが実践で腕を磨く場として一般に解放しているクリニック。学生が治療するため、治療時間は二時間と長く、待たされることも多いが、その代わりに通常の歯医者の半額以下の料金で治療できる。学生が治療するとは言え、必ず教授が見に来てくれるので安心というので、行ってみることにした。
すると、初回検査と治療費込みで、何と100ドルのみ。それで神経治療の恐れがあると言われた歯は治ってしまった。30万はどこに行ったの?このときほど普段「金持ち大学が」などと揶揄しているNYUの有り難みを感じたことはない。デンタルクリニックがあるだけでもう、NYU様様です。

私は最初の検査で全ての歯のレントゲンを撮られ(18枚!)、すべての隠れた虫歯を暴かれてしまったので、それ以来、二週間に一度はNYUCDで虫歯の治療を受け続けているのだが、これが虫歯一本につき、大体100ドルかかる。他よりは安いと言っても、毎回悲しみのため息である。

そんなある日、かかりつけの学生歯科医から電話があった。「今年卒業する学生があなたの歯を試験台に使いたいと言っているんだけど、どう?タダで治療してもらえる上に、報酬が100ドル出るわよ。」試験には特定の部位の特定の大きさの虫歯が必要らしく、条件に合った患者を見つけられない学生は試験を受けられない、つまり卒業できないらしい。人助けにもなるし、歯の治療費と合わせて200ドルの儲けにもなるし、もちろん私の答えは「イエス!」。
試験の二日前に試験を受ける学生と会い、内容など詳しいことを聞いた。インド系美人の彼女は卒業できる見込みが出来てとても嬉しそうだった。
    ▲肩をすくめてやれやれという素振りをし合う試験台患者たち             

試験当日の朝6時、私は彼女からのお目覚めコールで目が覚めた。クリニックには7時半集合なのである。眠い目をこすりながらサブウェイへ急ぐ。前日の大雪の為か、クリニックへ行くバスが来ない。集合時間5分前。再び彼女から電話が。バスを待っていると言うと、払うからタクシーで来いと言う。バスで5分かからない場所なのに、卒業生は必死である。到着すると、早速患者用の紫色のシートを被せられ、治療用のイスに座らせられる。これから先は長くなるので書かないけれども、端的に言うと、4時間休みなく口をあけっぱなしという人生初の体験をした。上の絵のような器具で口をあけっぴろげにしながら、試験用のトレイと歯の検査用器具と書類を持って、やれあっちへ行けこっちで待て、終わったと思ったらまた別の部屋へ行かされて、「教授がチェックします」。それが済んだら「あとふたり別の教授がチェックするから。」え〜、まだあ。もうやだあ。

結局7時半から始まり、終わったのは12時過ぎであった。無事に虫歯も治ったしお金ももらえたし人助けもできたし、まあ良かったのだけれども、鏡に映った自分の顔は恐怖と疲れでこわばり、恐ろしくひどい顔。がっくり。なにかおいしいものでも食べて回復せねばという訳で、この後に前回の記事のディムサムに行ったのだった。この時稼いだお金で支払ったのは言うまでもない。

そういうわけで、「NYで虫歯になったら?」の問いに対して、「NYUCDへ行く」は3つめの選択肢。もしかすると私のように試験台の申し込みがあるかもですよ。ラッキーかどうかはさておいて。。。


*New York University College of Dentist*
345 E. 24th St, NY, NY 10010
212-998-9610
http://www.nyu.edu/dental/patientinfo/index.html


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