Tuesday, February 14, 2012

さよなら!怒濤の子守り(4)

またね、テディ!





















 子守りも大分慣れた4日目、テディは一日中なんとなく落ち着かず、ぐずっていた。

ミルクを飲んでも気に入らず、ぎゃあと泣くことが多い。眠そうではあったが、眠らないで不機嫌な顔。うーん。じゃ、今日は外に散歩いくか?と、ホテルのブロックを一周してみた。相変わらず明かりに興味を示す。寒かったので、10分ほど歩いてから部屋に帰ったが、最後のミルクで大暴れ。久々の、泣き止まない! ひえ〜〜!!それでも何とかステラの帰宅まで持ちこたえ、バトンタッチ!ステラの腕の中でも暴れるテディ。どうした〜!??

ステラによると、前の夜に、ステラはテディを連れて長時間マンハッタンを歩いたらしい。とても寒い夜だったので、疲れたのだろうということだった。そういえば、テディは一日鼻水が出ていた。風邪をひいたのだ!無理して散歩させるんじゃなかった。

この日は、担当のおばさんがタオルを持って来てくれた以外は、ホテルの掃除婦のおばさんたちは誰も尋ねてこなかったので、静かな一日だった。担当のいつものおばさんは、帰り際にやってきて、「私は明日あさってと休みなの。あなたは明日までだし、テディもあさってお母さんと帰るんでしょ?これでお別れだね。」おばさんはテディをちょっと抱いて、私にさよならと言って出て行った。本当に色々とありがとう、おばさん。

そしてついに最後の日。
私はいつものおばさんの代わりに来た掃除婦さんに、掃除婦のヘッドを呼んでくれと頼んだ。彼女は警戒して理由を訊いたので、お礼が言いたいと言った。しばらくすると、ドアを叩く音が。開けると、金髪のヘッドである。ハンカチで口を抑えている。「なに。中には入れないわよ。風邪を引いてるの。テディに移る。」確かに鼻声だ。お礼が言いたくて、と言うと、どうして、お礼されるようなことはしてないよ、と逃げようとする。が、テディが寝ているのを見ると耐えきれず、葛藤しながらも遠巻きにあやしに来た。愛すべき人だなあ!

私は、私の勤めは今日で終わりなのだということと、これまで色々と親切にしてくれたことに対する感謝の意を述べ、昨日描いたテディの水彩画のコピーを二枚差し出した。一枚は、この部屋の担当の人に渡して欲しいと言い添えて。そして、ヘッドの名前を初めて尋ねて、絵の隅にサインとともに記したのだった。ヘッドはとても喜んでくれた。こういう時、素朴に絵を描いていて良かった、と思う。そして、ヘッドは何と再び、例のクロワッサンとコーヒーを運んで来てくれたのだった。。。却ってすみません。。。

ヘッドは、テディとの別れが名残惜しいようで、テディに向かって何度も「ビューティフル ベイビ〜。おばさんが連れていくよ〜。」と言っていた。いやいや!
ちなみにここのクロワッサンは、SOHOにあるBalthazarという店のものだったのだが、これから先Balthazarの名を聞く度、いや、クロワッサンを食べる度、このヘッドや掃除婦の人たちのことを思い出すだろうと思う。そして、小さなテディのことも。再び会う時は、きっとずっと大きくなって、私のことなんか忘れているんだろうと思うと、不思議な気持ちになった。

ヘッドと担当のおばさんにあげた水彩画


ステラは帰って来ると開口一番、「終わったあ!」 と嬉しそうに叫んだ。しかし私は、何だか複雑な気持ち。テディとこれでお別れと思うと、ヘッドや掃除のおばさんと同様、やはり寂しい気がするのだった。しかしステラは、経験のない私にまかせていたゆえ、この五日の間、恐らく気が気でなかったのだろう。友達とはいえ、やはりママだ。こんなに濃い五日間を過ごさせてくれて、ありがとう、ステラ。私はお礼とともに、描き溜めたテディのスケッチを本のようにまとめて、ステラにあげた。ステラは喜んで、子供が20歳になったら見せるわ、と言った。テディが20歳になったら?そんな時が、来るのだろうか?再び不思議な気持ちがしたのだった。


元気でね〜!!



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Monday, February 6, 2012

怒濤の子守り5日間(3)

↑実はこのテディは3日目に描きました

















子守りも3日目です。

朝からにこにこのテディを、大きなベッドに寝かせて、毛布をかけて、テレビをつける。私も一緒になってごろーん♪最初はニュースを付けていたけれど、暗い内容が多いので、子供番組にする。大抵は、カラフルで楽しいアニメ。動物がたくさん出てくる。なかなか楽しめる。

テディ、しばらくすると私の顔をじっと見る。見る。見る。何だ〜??変な顔を作ったり、いないいないばあの変形バージョンをすると、テディはにっこにこ。踊ったりしてみる。すごく喜ぶ。何だか真似して自分の手を動かそうとしてる。まさか?両手を大きく振って、「ほら〜振ってごらん!」すると、テディは同じように手を動かすではないか!5ヶ月の子供って、こんなに物が分かるの?すごすぎるぞ、赤ん坊!

しばらく踊っていると、眠くて仕方なくなってしまった。「ごめん、お姉ちゃん眠い。。。」と横向きに寝ていると、テディは小さなおでこを私の頭にすりつけてくるではないか!そして、私の指を握りながら眠ってしまった。こいつめ〜〜〜!!!愛いやつ愛いやつ!そして私もそのまま夢の中へ。。。(オイオイ)
誰かがドアを叩いた気がしたけど、そしてちょっとドアを開けた音もしたけど、無理です。既に夢の中。

たぶん1時間半ほどそうしていたのだろう。私が目を覚ますと、テディも目を覚ました。テレビの小さな音が部屋に響いている。テディのちょっと落ち着かない様子に、ミルクの時間の到来を予感する。が、本当にお腹がすく(泣く)まで待つ私。だって、中途半端な状態でミルクをやると、満足するまで飲まない。すると、赤ちゃんも何度も泣いて、私も何度もミルクをやることになるので、お互い大変な気がするのだ。
そういうわけで、泣きそうになるとあやす、を繰り返し、とうとう本泣き!はいはい。昨日、掃除のおばさんたちから教わった通り、タオルを肩にかけて、テディの口元にもタオルを巻いて、準備完了!さあ、飲め飲め!
ごっくんごっくん、テディはすごい勢いで飲む、飲む。こんなちっちゃいのに、こんなに入るんだ、と信じられない位。途中でちょっと泣き出す。でも、ここでミルクを取り上げると、後でもっと泣くのだ。ミルクの口をちょっと引いて、唇につけるくらいにしておくと、テディはすぐ泣き止んで、吸い付いてくる。「ちょっと泣き」は、「ちょっとタンマ」の合図なんだろうと思う。そのようにして、テディは一度に150ml〜200mlのミルクを飲む。初日、それが分からなかった私は、テディが25mlとか50ml飲んで「ちょっとタンマ」をすると、もういいのかと思ってベッドに戻してしまっていたのだ。やっぱり泣くには理由があるんだなあ。

テディが顔をしかめ始めると、私はすかさず、タオルをかけてある方の肩にテディをのっけて、背中をポンポン、と軽く叩く。げっぷを出すのだ。母親と掃除のおばさんたちに教わった。げっぷと同時にミルクを吐いたりするので、タオルを肩にかける。なるほど、こうすると確かに私の服も汚れず、テディの服も濡れない。満腹になってげっぷがうまく出来ると、今までの嵐が嘘のように、テディは天使の顔になる。私もほっとする。

そして私は、今日はまだクリーニングの人が来ていないことに気がついた。もう12時。つーことは、さっきドアを叩いてたのは?とにかく、汚れたタオルとオムツが山のようにあるのだ。来てもらわなくては困る。ドアを開けると、クリーニングの道具がまだ置いてある。廊下の向こうには、いつものおばさんが。「あ、お掃除してもらえますか?」おばさん、笑顔でやってくる。テディはきゃっきゃっと嬉しそう。「さっき来たんだけど、あんた寝てたよ。赤ちゃんと一緒に。」ははは。おばさんは部屋を掃除して、もう一人別の人がバスルームを洗ってくれた。タオルもたくさんくれた。

おばさん「あんた、ランチは?食べた?」私はテディにつきっきり。「まだ。」おばさんは、顔をしかめて「あらあら。食べなさいよ。」と言って、出て行った。私は食べやすいバナナとパンにジャムを塗ったものを持参しているので、いつでも食べられるのだが、子守りって、意外と体力を消耗するらしい。この日も食べたけれど、どうも足りない感じ。

それからも、たまに誰かがドアをノックする。開けると知らない掃除の人たちで、「様子を見に来た」「いるものはないか」と。ちょっと過剰な気もしてくる。

そして、3時のミルクの後でやってきたのは、掃除婦のヘッドである金髪おばさんと部下。テディは眠りかけているところだったので、そっとしておきたかったが、ヘッドは「テディちゃ〜ん」と遊びモード。止めようかとも思ったが、テディは完全に覚醒。嬉しがってきゃっきゃっ言ってる。ヘッド「遊びたがってるわ!そうだ、ホテルのロビーに連れて行きなさいよ。フレッシュな空気を吸わせて、人を見せて。音楽もかかってるし。コーヒーでも飲んだら。」
テディは目が覚めてるし、ステラもたまには外へ連れて行って欲しいと言っていた。それではと、ヘッドと部下の人に手伝ってもらって、赤ちゃんを背負うガードルのセットを手伝ってもらう。背負いひもの豪華版だ。胸の位置に赤ん坊を向かい合わせに抱く。これは、両手も使えて、なかなか便利!

ヘッドと一緒に、部屋の鍵を持って、エレベーターに乗り込む。3人でロビーに到着。まかり間違っても転ばないように、ゆっくり歩く。肩で風を切って進む人々の街・NYで、こんなにゆっくり歩いたのは初めてだ。貴重な経験だ。

ヘッドは、空いている席に案内してくれる。いやー、どうもすみません。そして、ロビー内の小さなカフェの方を向いて、「コーヒーは?お金もってる?」もちろん持ってきていない。「ないです。」すると、何とヘッドは私のために、自らコーヒーを買って、運んできてくれたのだ!(その上、クロワッサンまで!)自分たちのことだけで精一杯の人々が住む完全自分主義の街NYで、こんなに他人から親切にされるとは思わなかった。驚きのあまり、言葉も出ない。「本当にありがとう。どうして、こんなに親切にしてくれるんですか?」と思わず訊いてしまった。
ヘッドはクロワッサンにナイフで切り込みを入れ、小瓶に入ったいちごのジャムを塗りながら、「すべてテディのためよ」とにっこり。私は、申し訳ないけれど、ちょっと信じられない気持ちで、困惑の色を隠せなかった。
「テディにあげちゃだめよ。ゆっくり食べなさい」と言い残して、ヘッドは去って行った。ショックで麻痺したような、私の頭。。。しかし、ここは取りあえず、有り難く戴くことにした。

赤ん坊を胸に抱えて、マンハッタンの小さなホテルのロビーで、掃除婦長にクロワッサンをご馳走になっている。。。それだけでも充分予想外なのだが、更にこのクロワッサンが!!驚愕のおいしさ!!!たった今、オーブンで温めたのか?と思わせるほどのパリパリ感、なのに中はふっくらジューシー!パリのクロワッサンの記憶(後日アップ予定)も一瞬遠くに追いやったほどである。こやつ、ただ者ではない!そういえば、エレベーターに貼ってあった「カフェのメニュー」に、ベーカリーの名前が書いてあった。あれは確か有名なパン屋。これは確認しなくては。。。
ショッキングな出来事の連続パンチを受けている私を、不思議そうに見つめるひとが約一名。有り難うテディ、全部お前のおかげなんだよ。それにしても、お前も一緒にこのクロワッサンを味わえたらなあ!

そういうわけで、美味なクロワッサンとコーヒーを噛み締めた後は、ロビーをゾウ歩きしながら、色々なものをテディに見せた。テディは音楽をじっと聴き、ロビーに入って来ては出て行く旅行者を眺め、特に顔を真上に向けて、黄色い照明をじーっと見つめていた。しかしそのうちに、もぞもぞと頭を胸にうずめてしまった。眠いのね〜。

そっと部屋に戻ると、掃除のおばさんたちが「だいじょぶかー」とやってきて、テディを下ろす手伝いをしてくれた。本当にみなさん、有り難う!!毎日感謝出来て幸せだ。おむつを換えると、テディは気持ちよく眠った。私はそんなテディをスケッチ。



この後も平和に過ぎ、無事にステラが帰宅。私はテディをバトンタッチして、ホテルを出た。昨日からのホテルの人たちとの交流が嬉しかったので、或る友人に電話して、ホテルでのことを話した。すると、

「なんでそんなに親切にしてくれるの?その人たち大丈夫なの?誘拐されるんじゃないの?気をつけないとだめだよ」

との反応。がっくり。そう、ここはNY。分かってるよ〜。気をつけるさ!!


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