Wednesday, October 19, 2011

パリからニースへ!南仏旅行の巻(1)

ニースの宿「Saint Exupéry」にて

































フランス日記もついに中盤。パリ滞在中に、ニースとベルリンに約一週間行きましたので、ここからはそのお話。
勢いにまかせて書いてしまったので、長いなあと思う方は、遠慮なく読み飛ばして下さい♪

*南仏旅行記・1日目*

ついにこの日が来た。ニース・ベルリンへ出かける日が。私にとっては、この二都市への訪問が、今回のフランス旅行の大きな目的であったのだ。

南仏旅行の目的は、ニース近くにあるル・カネ。私の大好きなフランス人の画家ピエール・ボナールが生前住んでいた場所である。フランスへ行くからには、どうしてもその土地と、数年前に出来たばかりの、ボナール美術館へ行きたかったのである。

南仏とベルリン旅行は私が担当になり、フランスへ行く前から宿だの行き方だのをもん嬢の助けを借りながら手配した。もう後は当日行くのみ、である。



当日の朝、5時に起きる。パリからニースまでは、フランスの新幹線TGVを使う。もん嬢に従い、バックパッカーのような出で立ちで、6時過ぎに家を出る。外はまだ暗く、寒い。暑かったのに、ここ数日で急速に秋になったようだ。食べ残しの食パンなどを携えて行く。

時間に慎重なもん嬢のおかげで、出発の一時間以上前にリヨン駅に着く。大きな駅だ。パリの外へ行く電車がホームに何台も止まっている。屋根の隙間から入る冷たい空気が広場を冷やしている。

まだ夜も開けていないというのに、そこで出発を待つ人の多さに驚く。スーツケースや大きなリュックを傍らに、あるいはグループで、あるいは単体で。わきあいあいとカフェやクロワッサンを片手にお喋りしている人々や、暗いレストランでカフェを飲みながら新聞を睨んでいる人など。まるでお祭りのようだが、誰にも出発時間を待つ人特有の、ぴりっとした緊張感がみなぎっている。

リヨン駅の広場には、コーヒー屋やパン屋、土産物屋や本屋がいくつもある。私は「車窓を見ながらコーヒー」をしたかったので(ベタ!)、パン屋の「カフェと甘いパンのセット3ユーロ」などを物色。でも今買ったら、席に着くまでには飲んでしまうなあ、などと考えて躊躇し、本屋で雑誌など見ているうちに、出発時間が迫る。私たちの乗る電車のホームは少し歩いた場所にあるということで、もん嬢の後について、大勢の人たちと共にホームへ向かう。ああ、コーヒーよ!

ホームの入り口に入る際に、切符を見せるシステム。そして、ここにもいた、どでかい機関銃を持った兵士たち。初日にシャルルドゴール空港で彼らを見たときは驚いたが、他にもオペラ座などの交差点にいたり、パリ市内でもちょくちょく見る。警官の数はNYがダントツに多いのだが、しかしこの銃は。。。ニューヨーカーもびっくりだろう。それにしても、世界どこへ行っても不安なんだな、と思う。

リヨン駅の兵隊さんにさよなら

結局コーヒーは買えずに(涙)、車内へ。我々のチケットは2等だったが、さすがに新幹線なだけあり、快適な乗り心地。
9月も半ば過ぎなので空いているだろうと思いきや、バカンス全開な格好で乗り込むノリノリカップルや、渋いスーツのおじさん、粋なスーツのおばさんなどで、みるみるうちに満席に近い状態に。そのうちにTGVは静かにホームを出た。

10分ほど走ると、もう車窓はミレーの「落ち穂拾い」のような構図。夜明けのオレンジの光が、畑の上に浮かぶ白い霧を浮かび上がらせる、不思議な光景。たまに古いお城のような街が遠くに見えるが、もうずっと一面の青い畑が続く。フランス列車の旅を楽しみにしていた我々だが、30分もする頃にはすみやかに夢の中であった。



1時間半ほど眠っていただろうか。目を覚ますと、前の席の人が飲んでいるコーヒーがとてもいい匂い。そうか、車内に売店があるのか。トイレに行くついでに買おうと、まだ寝ているもん嬢を残し、席を立つ。

売店は、車両をいくつも超えた先にあった。長い列ができている。取りあえずトイレに行き、列に加わる。欲しいのは、普通のコーヒー。しかし油断しているとエスプレッソが出てきてしまう。注意深くメニューを見つめると、「cafe; espresso ou cafe filtre」との表記が。「エスプレッソかフィルターのコーヒー」ということだから、フィルターの方が普通のコーヒーだろうと推察し、頭の中で発音の練習をしながら待つ。他の人も大体が同じコーヒーを買っているが、何といって注文しているのか、全然聞こえない!
そしてついに自分の番。ひー。頑張って「un cafe de filtre」と発音するが、店員さん、さっぱり理解してくれない。うう。後ろのおっさんが手助けしようとしてくれるが、結局は英語でコーヒーと注文して解決。負けた〜。

何はともあれ、めでたく「フランスの車窓でコーヒー」だ、とウキウキ席に戻ると、もん嬢が必死の形相でウェルカムバック。トイレに行きたかったらしい。ごめんごめん!

コーヒーを飲んだり、持ってきた食べかけの食パンやらチョコパンを食べたり、窓の外を眺めたり、通路をばたばた駆け回る利かん坊とそれを追いかける若いお父さんや、他の車両からやってきた犬などを見たりしながら、時間が過ぎるのを待つ。6時間ってけっこう長い。

利かん坊は、3歳くらいだろうか。こっちの子供はかわいいが、でかいなあ。利かん坊は突然、私の隣の席に座った上品な中年の婦人に近寄ったかと思うと、「べしっ」と手をぶつという暴挙に。お父さんは叱るどころか、おろおろして、「利かない子で…」などと言ってる様子。婦人はさすがに憮然としていた。お母さんは席でずっと眠っている。その後も、お父さんは遊び回る子供の言いなりだった。日本でも躾られない親が多いと聞くが、フランスでもそうなのだろうか。。。

車窓からの景色は、いつの間にか木が多くなっている。

車窓からの風景・木々に海



































出発から3時間半ほどで、電車はマルセイユに近づく。マルセイユといえば大きな街だが、車窓から見るそこは、なんとガラの悪そうな場所だろう。アパートの外壁や駅の倉庫に絶えず描かれるグラフィティ。それが美的というより、本当にいたずらという感じのもので、街もどことなくさびれているよう。これが本当に、マルセイユなのだろうか?街に降りたわけではないので、実際はどんな場所なのか分からないが、何となく物悲しくなった。疑問顔の我々を乗せて、電車は更に進む。

またしばらく行くと、木々の間から、ついに海が見えてきた!なんという日射しの強さ、海のまばゆさだろう。海の色は、白と青。日射しは、黄色いと思った。ボナールの色彩を真っ先に思い浮かべる。彼は海の絵もよく描いた。これが画家たちの好んだ南仏か。しばし感激。

モナコやカンヌに近くなると、海岸には大勢の人が、まるで今が夏の盛りというように、泳いだり日光浴したりしている。パリはもう寒く、ジャケットまで着てきて、まさか泳ぐなんて!と思っていた私たちはとてもびっくりした。
そして、ついに電車はニースに到着!車外に出た私たちは、空気の暑さにまたまたびっくり。ここはまだ夏だ!長袖を来ているのは、我々と、列車を降りた人くらいなものだ。

ニースは、小さいが、人がこれでもかと多く、有名デパートやブランド店など、なんでもあった。田舎の都会という感じ。大通りに面したレストランの価格も、パリと余り変わらない。さすが観光地。時刻は2時頃。空腹だったので、どこかでお昼を食べようと、安い店を探す。
ジェノバ風オムレツとパナシェ

大通りを一本入ると、ビールのすこぶる安いカフェを発見したので、そこに決める。手頃な価格の品ということで、ふたりともオムレツに。もん嬢は「ニース風オムレツ」、私は「ジェノバ風オムレツ」を注文。ついでに、初ニースを祝して、パナシェというレモンのビールで乾杯。

オムレツというと、NYでは大きな半月型のものしか見たことがない。ここのオムレツは、薄くて大きな丸型で、マスタードドレッシングであえた緑のサラダの上にどかんと乗っかっていた。オムレツの表面には、バターのあぶくがぷくぷくしている。ジェノバ風オムレツは、本当にジェノバペーストが入っていて、なかなかおいしかった。もん嬢の「ニース風」は、野菜がたくさん入っているオムレツだった。この後も何度か「ニース風」というメニューを頼んだが、常に野菜入りだった。「ニース風」=野菜入り?パナシェと共に、至福のおいしさ。しばし、なごむ。
後ろの席のアロハシャツを着た、地元のフランス人のおじさんを見て、ここは常連の店だから当たりだと自分たちの英断を誉め合っていたら、おじさんは携帯を取り出し、生粋の日本語で喋りだしたのであった。。。

この後、宿「Saint Exupéry」にチェックイン。ユース登録をしてないユースのような安宿。私たちは14人の女部屋。二段ベッドの上と下をそれぞれ取り、荷物を置いて、さっそくニース観光に出かける。

取りあえず、海岸に行こう。宿から歩いて5分で海なのだ。

おおー、「ニース」のイメージそのまんま!白人の老若男女が水着で浜辺に寝そべったり、泳いだり、何とも楽しそう。対する我々は、長距離移動に備えたスニーカー、長袖のシャツ、スカーフ、、、およそ「夏」「海」とはかけ離れていて、どう見ても冷やかし軍団。

しばらくは、目の前の水着女の胸のでかさに驚嘆したり、「メロン」と名付けてその全貌を明らかにしようと、背後からこっちを振り返れ光線など送っていたが、あまりの日射しの強さに、早々に海岸を離れる。ああ、水着を持ってくれば良かった。

その後は、海沿いの道をたどって、旧市街地を散策。丘の麓に迷路のように、小さな石造りの古い家々が様々な店を出しているのだった。その風景は、何だか昔映画の中で見た、スペインかどこかの街中のよう。看板の読めない綴りを見ながら、これはイタリア語だ、いやスペイン語だと、分からない同士、無駄に推測し合う。

丘の上にも登って、日暮れのニースの街を一望。美しいなあ。更に丘の上のお城の跡まで行き、人口の滝を鑑賞。丘を降り、今度は街をうろうろ。ビールがすごく安い店など見つけ、はしゃぐ。ちょっと道に迷い、ようやく大通りに出る。もうすっかり夕飯の時間だが、何しろ2時過ぎにオムレツを食べた我々。軽く行こうと向かった先は、天下ご免のマクドナルド。お金のなさそうな若者でいっぱいで、安心して節約できた。

ユースに止まる心得など、もん嬢にレクチャーしてもらい、宿に戻る。もん嬢の教え通り、みなさん早めに就寝モード。我々もさっとお風呂に入り、12時頃にはベッドへ。明日はいよいよ念願のボナール美術館、早く起きなければ!なのであった。(続く…)


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