大寒を過ぎると、はっきりと分かる。驚きにも似た喜び。
まず、日差しの質が変わる。熱の少ない冬の日差しとは異なる、ぬくもりのある日差し。
雑草が姿を現しているのが、ふっと目に入る。ヒメオドリコソウの赤紫の花、そしてオオイヌノフグリが青空のかけらか静かな星のように、地面にひっそりと散らばって咲いているのに、その時初めて気がつく。昨日も通った道だと言うのに、いつからそこにじっとしていたのだろう。
自然とは、おそらく時計よりも正確なものなのだ。
何か神聖なものをうっかり見てしまった時のように、心がすうっと透き通るのを感じる。
そして2月も中旬になると、鳥の数と種類が格段に増える。シジュウカラやスズメ、ムクドリのさえずりで、庭が再び賑やかになってくる。
アブラムシがネギの葉の陰で固まっているのを見る。
蜂が花の周りを飛んでいるのに出くわすようになる。
春雷がきこえる。
春一番が吹く。
春が来る。
春は来る。人間の世界でたとえ何があったとしても、きっと、やっぱり、春は来る。
そしてそれこそが、人間に残された唯一の希望なのかもしれない。
そんなふうに考えてしまう、2022年の春です。
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