バイト先での話。
ある日、経営者であるミセスMが飼い犬を二匹連れてきた。獣の匂いの全くしない美しい毛並みの犬たちが、社内を自由気ままに歩き回る。社員たちの顔がなごやかに活気づく。
「かわいいですねえ。」うっとりとつぶやく私に向かって、若い方のブンブンという犬を指しながら、デザイナーのFさんは驚くべき一言を放った。
「この子ね、大変だったのよ。ハリネズミに刺されて。。。」
ハ。。。ハリネズミ？！
って、生息しているんですか、ニューヨークに？？
にわかに信じられない顔をしている私のために、側を通りかかったミセスMが携帯を取り出し、その時のブンブンの写真を見せてくれた。「ほら。」
。。。。。。。。。。。。。。
白髪のおやじさま。。。。。？
と、、、思わず呟きたくなるほど、顔中の至るところに突き刺さる、白と黒の強烈なとげ！！写真の中のブンブンは悲しそうな目つきでじっとこちらを見つめている。よく見るとぞっとしてしまうほど、とげの一本一本は太くしっかりしていて、とても長い。その白黒模様のとげの出で立ちは、インディアンの槍を彷彿とさせるものがある。
一月ほど前のこと、アップステイト（マンハッタンのずっと上）の家の庭で犬たちを遊ばせていたところ、このような有様で帰ってきたということだ。全てのとげを抜くのに大人３人掛かりで３時間もかかったらしい。抜いたとげを私も見せてもらったが、先がフックのような鉤状になっており、簡単には抜けないようになっているのだ。しかしそんな時にも関わらずちゃんと写真を撮っているミセスM。余裕が素敵だ。ちなみにブンブンは今ではすっかりきれいな顔に戻っている。それにしても、生き物は神秘だ。
家で調べると、どうやらこの犯人はハリネズミではなく「ヤマアラシ」であるよう。そういえば経営者は、ハリネズミを意味するHedgehogではなく、Porcupineと言っていた。ハリネズミはずっとかわいらしいのに、ヤマアラシはでかいし強そうだ。しかもヤマアラシは凶暴で、自分から進んで攻撃してくるらしい。都会を電車で一時間ほど離れただけでこんな動物がいるのか。。。やっぱりここは荒ぶる自然の土地、アメリカだ！
そしてFさんによると私の住むブルックリンにはアライグマがいるらしい。セントラルパークにいるという話は聞いたことがあるのだが、近所にまで！ううむ、まだまだ知らないことがたくさんあるなあ。
▽ぽちっと応援クリックよろしくです♪
No comments:
Post a Comment