またね、テディ! |
子守りも大分慣れた4日目、テディは一日中なんとなく落ち着かず、ぐずっていた。
ミルクを飲んでも気に入らず、ぎゃあと泣くことが多い。眠そうではあったが、眠らないで不機嫌な顔。うーん。じゃ、今日は外に散歩いくか?と、ホテルのブロックを一周してみた。相変わらず明かりに興味を示す。寒かったので、10分ほど歩いてから部屋に帰ったが、最後のミルクで大暴れ。久々の、泣き止まない! ひえ〜〜!!それでも何とかステラの帰宅まで持ちこたえ、バトンタッチ!ステラの腕の中でも暴れるテディ。どうした〜!??
ステラによると、前の夜に、ステラはテディを連れて長時間マンハッタンを歩いたらしい。とても寒い夜だったので、疲れたのだろうということだった。そういえば、テディは一日鼻水が出ていた。風邪をひいたのだ!無理して散歩させるんじゃなかった。
この日は、担当のおばさんがタオルを持って来てくれた以外は、ホテルの掃除婦のおばさんたちは誰も尋ねてこなかったので、静かな一日だった。担当のいつものおばさんは、帰り際にやってきて、「私は明日あさってと休みなの。あなたは明日までだし、テディもあさってお母さんと帰るんでしょ?これでお別れだね。」おばさんはテディをちょっと抱いて、私にさよならと言って出て行った。本当に色々とありがとう、おばさん。
そしてついに最後の日。
私はいつものおばさんの代わりに来た掃除婦さんに、掃除婦のヘッドを呼んでくれと頼んだ。彼女は警戒して理由を訊いたので、お礼が言いたいと言った。しばらくすると、ドアを叩く音が。開けると、金髪のヘッドである。ハンカチで口を抑えている。「なに。中には入れないわよ。風邪を引いてるの。テディに移る。」確かに鼻声だ。お礼が言いたくて、と言うと、どうして、お礼されるようなことはしてないよ、と逃げようとする。が、テディが寝ているのを見ると耐えきれず、葛藤しながらも遠巻きにあやしに来た。愛すべき人だなあ!
私は、私の勤めは今日で終わりなのだということと、これまで色々と親切にしてくれたことに対する感謝の意を述べ、昨日描いたテディの水彩画のコピーを二枚差し出した。一枚は、この部屋の担当の人に渡して欲しいと言い添えて。そして、ヘッドの名前を初めて尋ねて、絵の隅にサインとともに記したのだった。ヘッドはとても喜んでくれた。こういう時、素朴に絵を描いていて良かった、と思う。そして、ヘッドは何と再び、例のクロワッサンとコーヒーを運んで来てくれたのだった。。。却ってすみません。。。
ヘッドは、テディとの別れが名残惜しいようで、テディに向かって何度も「ビューティフル ベイビ〜。おばさんが連れていくよ〜。」と言っていた。いやいや!
ちなみにここのクロワッサンは、SOHOにあるBalthazarという店のものだったのだが、これから先Balthazarの名を聞く度、いや、クロワッサンを食べる度、このヘッドや掃除婦の人たちのことを思い出すだろうと思う。そして、小さなテディのことも。再び会う時は、きっとずっと大きくなって、私のことなんか忘れているんだろうと思うと、不思議な気持ちになった。
ヘッドと担当のおばさんにあげた水彩画 |
ステラは帰って来ると開口一番、「終わったあ!」 と嬉しそうに叫んだ。しかし私は、何だか複雑な気持ち。テディとこれでお別れと思うと、ヘッドや掃除のおばさんと同様、やはり寂しい気がするのだった。しかしステラは、経験のない私にまかせていたゆえ、この五日の間、恐らく気が気でなかったのだろう。友達とはいえ、やはりママだ。こんなに濃い五日間を過ごさせてくれて、ありがとう、ステラ。私はお礼とともに、描き溜めたテディのスケッチを本のようにまとめて、ステラにあげた。ステラは喜んで、子供が20歳になったら見せるわ、と言った。テディが20歳になったら?そんな時が、来るのだろうか?再び不思議な気持ちがしたのだった。
元気でね〜!!
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2 comments:
ゆりぽ!ゆりぽのやさしい人柄がたいへんよくでた子守りの様子を笑顔で読ませてもらったよ。おつかれさま。赤ん坊ってすごいよね!!
まぽー!!ありがと〜!!ほんと、大人全てを巻き込むそのパワー!不思議だわ〜赤ん坊って。
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